2016年3月25日金曜日

舞台『かあちゃん』


明治座へ

3月3回目の舞台鑑賞

藤山直美は藤山寛美さん育ちの者には
やはり面影を捜さずにはいられない

憧れの八千草薫さんを間近に拝めるのも
今回の愉しみ

山本周五郎作
鎌田敏夫脚本
石井ふく子演出

展開は十分に想像できる

想像はできたが
子を奉公に出すとき気丈に送り出し
その後一人泣く母親のつらさの演技には
共感し涙した

昨日甲子園で惜しくも一回戦敗退した
二十一世紀枠で出場した長田高校を卒業した長男が
東京の大学に行く日
気丈に送り出したと思ったが直後
弟の膝に泣き崩れた
肩打ち震わせ全身全霊で泣き続けた
とめどなく流れる涙は
止めようとしても溢れ出続けた
感情も思考も追いつかないほど
身体は悲しみに支配され制御不能となった

弟は初めて見る母の取り乱しように
圧倒され身動きできなかったろう

長い長い時間
弟も支えとなってくれた

あんな経験はあとにも先にもない

かあちゃん

かあちゃんもまたこの経験をしたのかもしれない

かあちゃんとしてまた生きねばならない

2016年3月18日金曜日

舞台『ETERNAL CHIKAMATSU』


渋谷シアタ-コク-ンへ

最近近松ものが続く
またブ-ムなのか

深津絵里は以前観た
谷崎純一郎の舞台『春琴抄』で素晴らしかった

近松門左衛門の『心中天網島』より

その時代と現代とを行き来する演出

現在の娼婦の深津絵里が
大阪の梅田橋で思い悩んでいるときに
タイムスリップし
大阪の梅田橋の昔
同じように恋に悩む遊女の七之助に出会う

 
中村七之助の美しいこと

恋の想いだけは
時代を超えて
なお変わらず

梅田曽根崎蜆川

なんと懐かし親しい地名

何度も参った梅田曽根崎お初天神

また参りましょう
恋の想い出と共に



2016年3月5日土曜日

舞台『逆鱗』


3月のはじめの舞台は『逆鱗』

東京芸術劇場プレイハウスへ

野田マップは『MIWA』『EGG』と
運よく続けて観せてもらえる

阿部サダヲはやっぱりすごい
松たか子はやっぱりすごい

前半とまったく違う結末に


奇想天外なフィクションを
ノンフィクションに変えていく

前職でお世話になった税理士の先生の話を思い出す
呉の海軍で明日出陣の命令を受けたまさに翌日に
玉音放送を聞いたという
死なずに済んだはずなのに
一日違いで先に逝った戦友に対する後ろめたさはずっと消えないと

コントにしか見えない滑稽な出来事が
まさかの事実

そしてまさかの今もなお