2010年10月2日土曜日

暴悪大笑相


大往生とはいえ
これまでの父との
54年分の歴史に
感謝や反省という言葉に分類されることのない
いろんな複雑な思いが
ぐにゅぐにゅ渦巻き
十一面観世音菩薩様に
会いに行った

 みな人の
 迷いの海は
 深くとも
 法の舟にて
 渡す岸寺

渡岸寺では
ため息が出るほどの完璧なお姿に
あらためて感嘆し
変わらず慈悲深く
受け入れてくださってる安心を
一瞬に感ずる

深い哀しみと苦しみを吐露するように
御優しい御美しい正面の御顔にすがる

足指までも
なまめかしく慈悲深い

背面に回り込んで
ハッとした

そこに父の顔があった

暴悪大笑相 (ぼうあくだいしょうそう)

秀麗な御顔の裏側には
悪を退治しあざ笑う
大きな口を開けて
高笑いする御顔があった

福福しい顔で元気に笑う
父の顔がだぶる

ここの十一面観世音様は
めずらしく背面からも
拝ませていただける

 なにをめそめそしてんのや
 
渇を入れられたようでもあり
♪人生楽ありゃ苦もあるさ~
父のよく歌った水戸黄門の唄が
その開けた口から
聴こえるようでもあった

御蔭様で
ここに導かれ
救われた

いつも有難う御座います