忘れもしない
それは毎週夫が出張で乗る便
その週ばかりは部下の若者が出張を替わった
度々我が家に顔を出した
まだ長男がよちよち歩きの頃
一緒に海水浴にも行った
鯉のぼりを立てるのに
穴掘り役を喜んでかってでた
よく働く気持ちのいい挨拶のできる
前途洋洋たる若者
婚約者もいた
それまで学んだあらゆることがぐちゃぐちゃになった
人の最期は生き様だなどと
物知り顔で云ってたことを恥じた
青空に泳ぐ鯉のぼりを
満足げに見上げていた
若者の精悍な顔
空への昇り鯉となって
いつまでも
人生を教えてくれる
いつも有難う御座います