昔
星を学んだ御師はよくいっていた
お墓になんかいませんよ
今
霊的なことを学ぶ御師もいう
お墓になんかいませんよ
わかっている
お墓におられるわけじゃない
ただお墓にいく姿を見ておられる
身体を洗うようにきれいにし
丁寧に拭かせていただく
新鮮な季節の花を供える
ロウソクの火を灯し
線香の煙たなびかせる
その作業の間も話し続ける
存命のとき以上に
前に来た日からこの日までの家族の様子を話す
ご存知でしょうが
お蔭さまで
お蔭さまで
1ヶ月の間に
いろいろなことがあっても
今
こうしてお墓参りに来れている
1ヶ月の間に
自分のことで精一杯でも
今
こうしてお礼をいう余裕をもてた
大変なとき
その最中は
守ってもらえてることを忘れる
ここにくると
ああ守ってもらえてた
そのことに気づく
1ヶ月に1回
状況を整理し
自分自身を見つめる
いつの間にか
そんな場所になっていった
毎回思い出す
火を点ける役割をやりたがる
小さな子供たち
毎回思い出す
帰り際のセリフ
ほら おじいちゃんがバイバイしてるよ
線香からゆらゆら揺れる白い煙
いつも有難う御座います