2008年11月24日月曜日

畑の匂い

細い畦道をなすび一杯積んでらくらく一輪車を押していく

頭には白いタオルをあねさんかぶり

その姿にあこがれて

かわってほしいと無理やりおねだり

伯母の位置に入り両の取っ手を持ち上げたとたん

バランスくずれバラバラとなすびがころげ出た

あれあれ

あんなに簡単そうにみえたのに

くやしくて泣きながらなすびを拾い集めた

今思えば大事な商品のなすびたちを傷つけたのだ

それでも伯母は笑いながらなすびを拾う

小学生の頃の夏休み

富山県の伯父の元によく預けられた

大阪育ちでおてんばでやりたがりの私は

よく伯母の仕事についていった

田んぼや畑作業はホントに新鮮で興味津々

トマトやきゅうりの可憐な黄色い花に魅せられ

畑の土の匂い

風の匂い

田んぼの稲の風紋

今でも鮮明に覚えている

伯母ちゃんは邪魔がらずいつもいつも畑に連れていってくれた

採れたばかりの大根をその横の小川で洗う

採れたばかりのとうもろこしをふかす

採れたばかりの西瓜を井戸に冷やす

おばちゃん

素晴らしい経験をさせてもらってありがとう

いつもいっつもやさしくしてくれてありがとう

いつもいつも許してくれてありがとう

震災のあとにはお見舞いもくれてありがとう

昨日富山に行った

90歳

おばちゃんの葬儀があった

あの広い田んぼの上にセレモニ-ホ-ルが立っていた